書籍|知るとモノとの付き合い方が変わるかも:消費を作り出す人々(著者:ヴァンス・パッカード)

日本はある国の人に「モッタイナイ!」と言われたことがある国だけど、私も言いたくなることが年々増えてきました。ある日、家電量販店に行ってびっくり。陳列されていた電気スタンドの多くは、電球が切れても電球を交換できない、つまり電球が切れたらスタンドごと捨てて買い替える、そういう仕様でした。


電球が切れたら、電球を交換するんじゃなくて、スタンド丸ごと捨てちゃうんですって!
少し前なら「いつかバチが当たる!」とか言ったもの。修理して使う時代は終わってしまったんですね。

LEDだから滅多に電球は切れないとか、そう言う問題じゃなくて・・・それはもう1961(昭和36)年に出版された「消費を作り出す人々」に書かれています。残念ながら既に絶版だけど、書店や図書館で入手が困難な場合、国立国会図書館や、一般利用が可能な大学の図書館などで読むことができます。

●国立国会図書館サーチ結果:消費を作り出す人々
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001191524-00

●CiNii 大学図書館の本を探す:消費を作り出す人々
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN05535102#ref

 

この本には、冒頭からこう書かれています。

アメリカ国民は、ある意味で、虎にまたがった国民になりつつある。彼らはますます消費することを学ばなくてはならない。さもないと、彼らの巨大な経済のからくりが彼らに歯むかい、彼らをむさぼり食らうかもしれない、と警告されているのである。


アメリカ国民と書かれているけど、「日本」と置き換えても、思い当たることばかり。そして書かれた売るための戦略の項目は・・、

1.浪費による繁栄
2.もっと買わせる戦略
(食べ飽きた状態を終わらせるためには大食の人達を増やす)
3.捨てさせる戦略(使い捨て)
4.計画的廃物化の戦略
5.欲望の計画的廃物化
6.2年間に4千ドルの車を流行遅れにする方法
7.家庭用品のはかない生命(家電について)
8.台所の流行品
9.修理人の天国
10.混乱を作り出す戦略(大売出しのヒステリー)
11.月賦販売による戦略
12.快楽主義を植え付ける戦略


周囲を見渡せばこの戦略のどれかが見つかるだろうしに、自分もハマっているかもしれない。たとえば、「4.計画的廃物化」って書くとわかりにくいけど、上記の電気スタンドの話も当てはまります。

そして、ここのところ流行ってる片付けブームなんかも、もしかしたら「2.もっと買わせる戦略」のひとつと疑うこともできるし、その場の使い捨てではないけれど、広義の意味で「3.捨てさせる戦略」といってもいいのかもしれません。もちろん、片付けを推奨している人たちがそうした意図を持ってるわけではないと思いますが。

ただ、「戦略」は知っておいた方がいい(苦笑)。


4.計画的廃物化の戦略
商品の寿命を縮めること以外、製品はその他いくつかの理由によって粗末に作られる。粗製は年々新しいモデルを提供しようとする無理が生んだ拙速にもよる。宣伝と販売費用を生み出すために、製造費を切り詰めてる場合もある。あるいは製品の量を減らすだけの操作による。いずれにしても、以上のような粗製が製品の廃物化を招くのに役立つ。



あと、よくビジネス書や自己啓発本とかに、
「借金してでも○○しろ、タイミングが大事」
「ローンは信用です、私はそれで稼ぐモチベーションが上がりました」
「お金は回さないと入って来ない」
とか書かれて、それを鵜呑みにしている人もいるみたいなんですけど。
右肩上がりの時代、あるいは今、景気のよい国や業界に身を置いているなら、まだいいかもしれませんが、それでもハテ?と思うこと多し(笑)。借金が悪いのではなくて、本当にその借金はする必要があるの?ってことです。
そんなにガツガツしなくても、幸せになれるんじゃないかなあ。

ちなみに、この本にはこんなことも書かれていました。


11.月賦販売による戦略
金を借りそうな顧客に対して、「借金を申し込むことは、けっして恥ずべき行為ではなく、むしろ先を見通している証拠なのだ」というように思い込ませなければならない。


自分の懐具合の問題にとどまらず、物を粗末にしている、資源を無駄にしている、他の国が危険な環境で安く働かされている、環境破壊が加速している・・一体どうなっちゃうんでしょうねぇ。若かりしときに読んで、個人のお金の使い方も考え直す機会をくれた1冊ですが、昔から「これからは消費者が賢くならなきゃ!」と言われても、賢くなるってタイヘンだ!

昔は、貧乏な家といえば、畳の部屋にちゃぶ台と茶箪笥くらいの質素な部屋。ところが今は、安物に溢れている部屋で主人公が物を探したり、どこかに足をぶつける、みたいな設定だって誰か言ってたけど、確かに・・・ね。

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