暮らし|日本の知恵:お櫃で冷めてもおいしいごはん

我が家では炊飯器を使わず(持ってもいない)、炊くときは圧力鍋か土鍋、保存にはお櫃(おひつ)を使っています。ごはんの保存には、常温、保温、冷蔵、冷凍とありますが、お櫃は昔ながらの常温保存の方法。


 慣れるまでちょっと手間はかかるけど、冷めてもおいしい、レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)を摂取できる、わずかだけど電気代の節約になる、洗剤要らずなど、メリットが多いです。

あと、天然木があるっていいものです。


お櫃について
お櫃には、木製(塗装なし、漆塗り、ウレタン加工)、陶器やセラミックがあります。塗装なしの木製でも、曲げわっぱタイプと、銅のタガで絞めてるタイプがあり、我が家では後者を使っています(タガが金属ではなく、竹製のものもあります)。
ちらし寿司を入れたり、夏には氷水を張って、素麺やうどん、果物、水ようかんなどのデザートや小さな瓶の飲み物を冷やしたり・・、本来なら来客時にお客様の前に出すときは、「塗りのお櫃」を出しますが、親しいお付き合いなら、そんな演出を兼ねたおもてなしの際に活躍してくれます。

木材は、さわらやひのきが多く、高級木材の秋田杉を使っているものもあります。
さわらもヒノキ科、ひのきに比べると香りが少ないものの、それでも食べ物に木の香りが付くのはちょっと‥という場合、水分の調湿機能は劣っても内側が塗装されたタイプのものの方がいいかもしれません。
価格もピンキリで安いものは数千円で入手できますが、中国産の白松を使っていたりします。香りや機能や強度とか、どうなのかなあ・・・・

 




メリット
メリットはこんな感じ。超・個人的な感想です。
確かに暮らしを豊かにしようと思ったらお金は必要だけど、「手間」をかけたり、いいものを長く大切に使うことでも実現できると思う。長い目で見たらお得な気がしているんですよね。

メリット①:冷めてもおいしい
お櫃は、ごはんの粗熱や余計な水分を取り、湿度を一定に保ってくれるので、冷めてもふっくらしたまま。水滴でべったりするとか、固くなることなく、おいしく食べられます。なので、レジスタントスターチ(食物繊維が増えた健康食)も摂りやすくなります。
※近年、ローカーボダイエット(低炭水化物ダイエット)が話題になる一方、健康のためには炭水化物は適度に摂るべきという意見もありました。レジスタントスターチは、食物繊維のように腸内環境を整え、体重や内臓脂肪の増加を抑える効果が期待できると言われています。たとえば、おにぎりなどいったん冷ましたごはん、トウモロコシ、ふかしイモなどから、手軽に摂取することができます。(それならごはんがおいしい方がいいよね)

メリット②:ごくわずかだけど、節約に貢献
各家電メーカーのHPにも記載されていると思いますが、 資源エネルギー庁の資料「省エネ性能カタログ電子版(2021年5月1日)」によれば、炊飯器のタイプや容量などによっても異なるものの、炊飯器を使わない場合は、年間1,080円~3,890円程度の節約にはなるようです。
炊飯器でごはんは炊くけど保温はしないという場合は、節約できる金額は本当に大したことがない金額となります。
実際のところ、お櫃の保存能力が高いといっても、せいぜい1日半~2日、少し多めに炊いてもいい状態で保存ができるという程度です。電気代は毎月かかるものだし、今後、電気料金が上がっていく可能性は非常に高いと思います。節電という観点からも、日頃からなるべく電気使用量が少なくて済む体制にしておくことができるなら、それに越したことはありません。
また、お櫃に限ったことではないけど、昔ながらの道具は大切にすれば長く使えるため、中長期的に見ると、かえって手間もお金もかからないような気がします。

メリット③:気分の問題
癒しとまでは言わないですが、天然木があるというだけでも気分がいいのと、時々ふわっと木の香りがする。

メリット④:慣れれば、いろいろと楽
木が持つ抗菌作用があって傷みにくい・・と言われれば、そうかなあと思います。洗剤も付け置き洗いも一切不要・・というよりしない方がいい。たわしで洗い、布巾で水滴を取って、日が当たらず、風通しのよいところに置いておけば、十分です。



デメリット
デメリットも書いておきます。個人的な感想です

デメリット①:ある程度の手間はかかる
気を遣っていても、黒ずみが出てきてしまうことがあります。黒ずみが出てしまったらサンドペーパーでこすって目立たないようにする程度しかできません。輪切りレモンで磨くと薄くなると聞いたことはあるけどやったことはありません。ちなみに直しに出すと結構お金がかかります・・。
また、長時間しまい込んでいると、木が締まりすぎてタガ(金属の部分)が緩んでしまいます。時々水分を含ませてあげること。
※大事に使えば、かなり長く使えます。何十年もほとんど黒ずみがない状態で使っている人もいます。すごいなあ。

デメリット②:ちょっと、気を遣う
これも慣れれば問題なくなりますが、他の食器や鍋と一緒に洗えない、そもそも、同じシンクの中に置いておけない・・・。油や洗剤も吸ってしまうので注意が必要です。

デメリット③:意外と場所を取る
ごはんは炊けないのに、場所は取ります。炊く道具と保存する道具が別々って、ある意味贅沢なことかもしれませんが、これを片付けや整理整頓のモチベーションに転換するしかない!!





素材とオプション品
木材は、さわらやひのきが多く、高級木材の秋田杉を使っているものもあります。
さわらもヒノキ科、ひのきに比べると香りが少ないとはいえ、それでも食べ物に木の香りが付くのはちょっと‥という場合、水分の調湿機能は劣っても内側が塗装されたタイプのものの方がいいかもしれません。

お櫃自体は保温はできませんが、「飯櫃畚(めしびつふご)」、もしくは「飯畚(めしふご)」と呼ばれる藁やしゅろで編んだ保温用の籠があります。保温を「温かい状態を一定に保つ」と考えるのが炊飯器なら、飯畚は「なるべく冷めないようにする、温度を逃がさないようにする」もの。お櫃の何周りも大きな円筒形の蓋つきの籠で、冬はお櫃を座布団と一緒に、あるは半纏にくるんで入れたそうです。残念ながら我が家にはありませんが・・・。

※余談:温めるとき、他の容器に移してレンジで温めてもいいのですが、昔ながらの「ふかし(蒸し器)」をつかって温め直すと本当においしいです。


コメント