映画|祈り(2012年・日本)

世界中で多くの人が祈り続けているけれど、その祈りは聞き届けられているのか?と疑問を感じたことは誰でもあると思います。災害、戦争・紛争、事件、事故、飢餓、貧困、病など、どれひとつとして減っていないと。



知人が「祈りって効果あるんでしょうか?」と牧師さんにたずねたら、「何の期待もできないようなことを何千年もやり続けるほど、人類は愚かなんですかね?」と返されたそうです(笑)。


この映画では、祈りは届くのか、またその時に人の心や体には何が起きているのか、人間以外にも効果があるのかなど、学者、ジャーナリスト、医学者、僧侶など様々な立場の人が「祈り」と「祈りを含めた意識研究」について語ります。


わかりやすい「みどころ」はありませんが、心に残ったことがあれば、それがその人にとっての「みどころ」といえるかもしれません。

1.「祈り」を研究した人、実践した人(出演者)

  • 村上和雄博士(筑波大学名誉教授)
  • ブルース・リプトン博士(細胞生物学者)
  • ディーパック・チョプラ博士(ホリスティック医学の権威)
  • リン・マクタガート(ジャーナリスト)、
  • ブラザー・ケシャヴァナンダ(ヨガナンダ寺院僧侶)
  • 柳瀬宏秀(「初詣の願いを祈りに」プロデューサー)
  • 棚次正和(宗教学者)
  • ダライラマ14世

映画は、マザー・テレサが唱える、アッシジの「聖フランシスコの平和の祈り」から始まります。

共に祈りましょう。
主よ、私は平和を伝える道具になりたい。
憎しみには愛で応えます。罪には赦しの心で接します。
争いには和をもたらし、過ちには真理を与えます。
疑念には信頼で応え、絶望には希望を与えます。
闇には光をもたらし、悲しみには喜びで応えます。
癒されることより癒すことを求められるようになりますように。
そして理解されるより理解することを、愛されることより愛することを。
なぜなら人は忘れるからこそ気づくのです。
赦すからこそ赦されるのです。
死ぬからこそ、永遠の命に目覚めるのです。

アーメン


2.祈りに関するさまざまな実験
今、こうしている間も世界の様々な場所で祈りは行われています。一方で、祈りに関するさまざまな実験も行われてきました。

ハーバード大学ハーバート・ベンソン教授は、祈る行為が、呼吸数、心拍数、二酸化炭素の排出量、酸素の消費量を抑制することを確かめ、そのことからガンやエイズ、心臓病、不眠症、不妊症、高血圧などの病気に効果的に働いたことが確かめられたそうです。

1988年に行われた心臓外科医ランドルフ・バード氏の実験では、心臓病患者393名に対し、東海岸の病院から西海岸の病院へ祈りの実験が行われました。その結果、祈られたグループは祈られなかったグループに比べ、人工透析器、呼吸器、抗生物質の使用量が激減することが確かめられたといいます。
しかも、祈られている西海岸の患者さんやドクターは、祈られているということは知らされていませんでした。距離はおよそ4000km、時差は3時間、祈りは物理的な距離を超えるのか、それとも関係ないのか、興味深いところです。

瞑想や祈りは、地域や国、地球の地磁気に影響することがわかってきており、TM機関の研究によるアメリカ48都市で行った実験によると、人口の1%の人間が瞑想をしたところ、犯罪率が22%減少、犯罪傾向が89%減少したそうです。
また、祈りは、人間のほかに細胞、組織、動物、バクテリア、細菌、イーストなどの有機体にも効くことが、これまでの研究事例から証明されているそうです。

多くの人に平和を祈ってもらう、超越瞑想法の実験が行われました。するとパレスチナさえも平和にできるのです。戦場であっても十分な人数が瞑想すれば暴力がなくなるのです。これはすでに実験で証明されています。ニセ科学ではなく現実なのです。
もし世界中で多くの人々が瞑想をしたら、地球上に平和が訪れるでしょう。しかも大人数は必要ではありません。その人数は人口の1%の平方根ぐらいでしょう。きわめて少ない人数ですし、実証済みです。

ーーブルース・リプトン博士(細胞生物学者)


全世界人口約70億人として計算すると、約8,366人。



3.「祈り」と「願い」
私達日本人が神社やお寺に行くときは、祈りというよりは願い、「願掛け」「現生御利益」です。合格祈願、良縁祈願、厄除け祈願・・祈るという字は入っているけれど、祈りと願いの違いはなんだろう?

祈りと願いに違いがあると思うんですね。
基本的には一緒なんですが、祈りの「い」が、願い。意向とか、我が意を得たりの「意」が、祈りの「意」だと思います。その「意」に、考えに、願いに人が乗れる、だか「意乗り(=祈り)」。あるいは神も乗れる、だから祈り。
願いと祈りの違いは、「願い」は本来祈りのはずなのに自分だけの願いになりがち、そうすると他人が乗れないですよね。だから祈りではなくなる。

ーー柳瀬宏秀(「初詣の願いを祈りに」プロデューサー)



私達は、有限で未完成な実存ではあるけれども、絶対的なものを求めざるを得ないという自然本性を持っていると思うんですね。で、祈りをするっていうことの中で、絶対的なものと自分との統一、繋がりっていうものを再確認するっていう意味があるんですよね。

ーー 棚次正和(宗教学者)



4.私達が今、変わること
「効果がないなら(あるかどうかわからないから)祈らない」というのは、何だか取引のようですね(笑)。そんな考えを持ったことがあっても、 効果があるなしに係わらず、何かあれば祈らずにはいられないものなのかもしれませんが。
思わず自問。

本当に心から祈ったのって、いつだろう?
そのとき、どんな気持ちで、何を祈ったのだろう?

映画を観ながら、祈り云々の前に、ちょっと気持ちや居住まいを正すというか、私達には何かしなければいけないことがあるように感じたのですが、一体何をしたらいいのでしょうね。


私達が今、変わるということだと思います。
考え方や行動を変えることは、極めて重要です。そして、やさしさや思いやりを持って接し、考えるべきです。理解も重要です。人生の悩みは人それぞれです。批判したり決めつけずに、良い行いを通して変化を助けるのです。それは自分が祈ることや神聖な考えを持つことで実現できます。
今となっては世界中で自然災害が起きています。しかもその数は増え、被害も大きくなっています。大惨事が起こることも多くなりました。偶然ではなく、マイナス思考や物質主義がもたらした結果です。意識を変えて生活をシンプルにし、瞑想の時間を取ることも大事です。スピリチュアルな自分を発見するのも重要です。そして買い物の最中でも思いやりを意識します。店員に優しく接し、仕事に敬意を表すのです。
人生を急いでもいいことはありません。目標を達成しても満足できず、また次の目標を探すだけです。人間が共存する方法を学ぶことがとても大切です。違いを受け入れるのです。

ーーブラザー・ケシャヴァナンダ(ヨガナンダ寺院僧侶)



ほんの一部の引用でも心に響くものがあればと思います。



映画「祈り」
https://inori2012.com/inori-top.shtml
https://earthianalliance.com/en/activity/inori/





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<編集後記>
2021年4月14日に亡くなられた筑波大学名誉教授・村上和雄先生を偲んで先生がご出演された映画『祈り~サムシンググレートとの対話~』を白鳥哲監督が期間限定で、無料で献映をしてくださっていました。
随分前に知人から自主映画会にお誘いいただき、映画「Switch」を村上先生のことを知って以来、そういうこともあるんだなあと新たな視点を頂いた思い出があります。
心より、ご冥福をお祈りいたします。


 

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