東京|上野の有名純喫茶のひとつ:王城(台東区上野)/純喫茶の背景にあるドラマ

上野界隈はレトロ喫茶が多いところでもあるのですが、その中の有名店のひとつ「王城」さんにお邪魔してきました。JR上野駅から御徒町方面へ歩いて5分程度、丸井の裏の方にある昔ながらの喫茶店です。行ったのは平日の18:00頃でしたが、5分待ち。休日は並んでいる人もいるほどの人気店です。

創業時期は不明ですが、現在の場所に移転してきたのが1975(昭和50)年だそう。それ以前にも、上野の別の場所喫茶店の営業はされていたそうです。

 


移転前の内装と多少の違いはあっても、基本的には同じでほとんど変わらないのだそう。
ゴブラン織りのソファも今では見ないですよね。

テーブルは大理石模様。これも流行りがあります。


今回あまり時間がなかったので飲み物だけの注文にしました。
「王城ソーダ」という、お店の看板をイメージしたオリジナルのソーダのフロートです。味はおいしかったのですが、何の味かと言われるとちょっと説明に困る感じ。色はグレープとか紫蘇だけど、グレープの味はしないし、紫蘇の味がするかと言われると、それっぽい感じはするものの、確実に紫蘇味だと言える感じでもない(笑)。

 

シャンデリアや天井の装飾も見事。

 壁紙やランプも素敵でした。


閉店15分前。お客さんが引いたエリアから掃除を開始(笑)。ゴブラン織りの美しさがよく見えました。

今日も1日お疲れさまでした。

 

高級感のある喫茶店ですが、気取ったところは全くてサービス精神に溢れたお店でした。コロナの感染が拡大した時期は非常に大変で閉店すら覚悟したそうですが、ファンの多くがオリジナルグッズを通販で購入をして支えたというエピソードがあります。

 

珈琲 王城 

 

さらにサービス精神を感じたのは、X(旧:Twitter)のプロフィール欄にも記載があるとおり、『当ページがポストした当店に関する写真は基本的に著作権フリーです!(当店がリポストした写真はダメですよ)』とのこと。撮影を快諾頂いても、他のお客様や店員さんのお顔がなるべく映らないようにと思うと人気店ほど難しいので、有難いですよね。

※今回は閉店ギリギリだったこともあって何とか撮れましたが、店員さんの後ろ姿だけは入ってしまいました。許可を頂きましてありがとうございます。



*  *  *  *  *

【編集後記】
上野駅ができたのは1883(明治16)年。東京の「北の玄関口」と呼ばれ、 特に東北、北陸、北海道といった北日本の人々に親しまれた交通の要所でした。関東大震災、太平洋戦争、戦後の混乱期を経て、神武景気といわれる好況になったときは、中学を卒業したばかりの若者の集団就職の際、上京のルートとして使われてきました。
昭和の上野は、京成線、国鉄(現JR)、地下鉄が乗り入れていたものの、特に新幹線もない時代には、夜行列車で地方からくる人と出迎える人、地方に向かう人と別れを惜しむ人で溢れていたそうです。上野駅や夜行列車や特急列車は歌にもなっており、当時を知っている人は、上野駅には格別の思いがあると思います。
昔から人の往来も多く盛り場だったことに加えて、待ち合わせ場所や、発車時刻までの時間を過ごす場所も必要だったことから、多くの喫茶店が誕生したと聞いたことがあります。
今このあたりに残っている昔ながらの喫茶店は、そんな時代の名残なのかもしれません。
場所によっては学生街ならではの喫茶店もあったりするので、「レトロ喫茶」と一言にいっても背景は色々ですね。 


コメント