台湾|ノスタルジックな港町:鹿港(1) :鹿港・天后宮(彰化縣)

 

台湾に来ると日本統治時代のものに関心が向いてしまいますが、せっかく来たのだから、日本が入って来る前の台湾がどんな感じだったのか、また戦後の国民党時代はどうだったのかも知りたいところ。


今回は、台湾中部の古い港町「鹿港(ルーガン、台湾語:ロッカン)」に行ってきました。中国の福建との貿易港で、台湾文化史の「鹿港期*」を築き上げたほど栄えていましたが、日中戦争の勃発で貿易は断たれ、日本統治時代に入ると大きく衰退してしまいました。ただ、建築芸術など、今でも当時の面影がわずかに残っています。

*鹿港期:大陸との交易による経済力を背景に多くの文学者や書家を輩出した時代。
全盛期は1785年~1845年頃。

 

まずは、鹿港・天后宮にお参りさせて頂きました。
三川殿(前殿)・正殿・後殿で構成されているそうですが、入ってすぐの三川殿の賑わいと彫刻はすごい!

「札束」に見立てた紙束を使ってお焚き上げ?
神様やご先祖へ捧げたり、自分があの世でお金に困らないようになど、
色々な意味があるとか。


台湾は、実に神様だらけ。
仏教、キリスト教、イスラム教、儒教、天理教もあり。中でも、道教がもっとも広く親しまれ、真っ赤でド派手な廟には、老いも若きも押し寄せます。すごくエネルギッシュです。

 

 

 

屋根の装飾は泉州の建築芸術。
この装飾が施されているのは、台湾でも珍しいそうです。泉州は、福建省東南部(台湾にしてみれば、海の向こう側)の港湾都市として発展した都市。ベトナム、インド、アラビア半島までの貿易路もあり、多くの船舶が就航していて、マルコ・ポーロの「東方見聞録」には「ザイトン」の名前で登場してるとか。そんな国際色豊かな都市の建築芸術、やっぱり華やかですね。東京から2000kmちょっと離れただけで、こんなに色彩感覚が違うのかと。


 

 

藻井(そうせい)の装飾もすごい。中国古建築に用いられる高い技術を要する部分のひとつだそうで、八角形のもの「八卦」を、螺旋のものは「太極」を表しているとか。

 

 

ちょうど何かのお祭りだったのか、パフォーマンスをやっていました。


 

神様もド派手に祀られていました。



チョイ悪な感じになってる神様も。



日本では仏像に触ること自体ができないし、余計な装飾なんてとんでもない!罰当たり!って感じだけど、道教の神様はこんな風に庶民の手によって、いろいろおめかしされています。国や宗教が異なれば、神様との付き合い方もこんなに変わるのですね。

せっかくのご縁なので、私も「拝拝(パイパイ)」をさせていただくことに。拝拝とは、道教の神様を拝むこと。台湾人のみなさんがお参りの仕方を教えてくれました。確かこんな感じ、参考程度に。

  1. お参りをする前に、お供物(紙束)を奉納。
  2. 香(シャン)というお線香を購入。
  3. お線香というよりジャンボ・ポッキーをさらに大きくしたようなものが数本束になっている。
  4. 着火場で全部の香に火をつけて神様の前へ。その香を捧げ持ちながら、3回礼をする(拍手は打ちません・笑)。
  5. お祈りをして2~3本の香を神様の前に立てる。様々な神様が一緒に祀られているため、時計回りに移動して順番にお参り。それぞれの神様の前で香を立てていく。



ここに祀られているのは、航海の安全を守る道教の女神、「媽祖」。
現在では、万物に利益がある神とされているようで、台湾では大人気の神様です。



媽祖とは、台湾、福建省・広東省で強く信仰されている神様。
伝承によれば、宋代に実在した官史の娘・黙娘が神となったとされています。父が海難に遭い行方不明となり、これに悲嘆した黙娘は旅立って仙人になったとか、父を探して遭難した、など諸説あります。媽祖は、「千里眼」と「順風耳」いう、もともとは悪神だった二神を脇神として従えています。千里眼は、媽姐の進む先やその回りを監視、あらゆる災害から媽姐を守る役、順風耳はあらゆる悪の兆候や悪巧みを聞き分け、媽姐に知らせる役として活躍しているとか。

この主殿にある媽祖は、1683年に中国大陸の福建省にある天后宮から分霊されたものなんだそうですよ。

 

鹿港天后宮 
https://www.lugangmazu.org/

 

 

もちろん、人が集まるところには、屋台や商店・飲食店が立ち並んでいます。毎日が縁日みたいな感じで。


メニューも、台北あたりとはまた違うものがありました。台湾の人たちに、「鹿港は何がおいしいか?」を聞いてみると、鰻や牡蠣、アサリや小エビなどがよく捕れ、これらを使った屋台料理はおいしくお薦め、他でも食べられるけどここで食べた方がいいものもたくさんあるそうです。何と言っても「彰化の屋台料理は鹿港に始まる」と言われるほど、実はB級グルメの宝庫だそうですよ。

 

 

 

特に「蝦猴酥(アナジャコのから揚げ)」が人気なのだとか。
「蚵仔酥(牡蠣の包み揚げ)」、「蚵仔煎(オアジェン・牡蠣の卵とじ)」は、どこでも一番の人気メニューですが、夜市の人気メニューの蚵仔煎は、鹿港が発祥。
 

その他、「カラスミ」、「エビ団子」、「猿蝦揚げ(シャコの中華風バジル揚げ)」、「塩味付け蛤」などもお薦めだそうです。個人的には、「小海老の揚げ物」はおいしかった!

 

台湾も中国も近いし横浜に中華街もあるのに、道教の廟とか媽祖ってあまり馴染みがなく、台湾に来るまでお参りしたことがなかったですね。
これもご縁ということで!

 

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