自主上映会に誘っていただき、龍村仁監督の「ガイアシンフォニー(地球交響曲)第一番」(1992年公開)を観てきました。「地球はそれ自体がひとつの生命体である」という考え方に基づいて制作され続け、現在は第八番を制作中だとか。
地球交響曲第一番ってどんな映画?
美しい風景と共に登山家、植物学者、動物保護活動家、歌手のエンヤさん、元宇宙飛行士の方などが登場します。色々と説明が難しいタイプの映画で、有名な役者さんが出てくるわけでもなく、誰が主役なのかもわからない、ストーリーもよくわからない・・・。
たとえば、すごくたくさん成るトマトの話とか、孤児となった子ゾウを育ててる人の話とか聞いても、「それで?」って感じですが、観た人たちはとにかく感動している・・。
第二番以降も観たいと、口を揃える・・・。
以下はHPより一部引用させていただきました。それでもどんなストーリーなのか、何にそんなに感動するのかは、やっぱりわからない(笑)。
かつて人が、花や樹や鳥たちと本当に話が出来る時代がありました。
その頃、人は、自分たちの命が宇宙の大きな一部であることを誰もが知っていました。太陽を敬い月を崇め風に問ね(たずね)火に祈り水に癒され、土と笑うことが本当にいきいきとできたのです。
ところが最近の科学技術のめまぐるしい進歩と共に、人は、いつのまにか
「自分が地球の主人であり、自然は自分たちのために利用するもの」と考えるようになってきました。
その頃から人は花や樹や鳥たちと話す言葉を急速に忘れ始めたのです。
(引用)地球交響曲HP:http://gaiasymphony.com/
決して科学を批判する内容もなく、映画の中に登場する元・宇宙飛行士の方は、「人間は科学と結婚したようなもの。だから科学が悪いのではなく、どう付き合うかだ」というようなことを仰っていました。
●地球交響曲:
https://gaiasymphony.com/
チラシにはゾウの写真が使われているので、ケニアの動物保護活動家ダフニー・シェルドリックさんのお話を。
動物保護活動家:ダフニー・シェルドリックさんのストーリー
ダフニーさんは、象牙密猟者に親を殺されたゾウの赤ちゃんを育て、野生に戻す活動を30年以上続けている。彼女が初めて育てて野生に戻したゾウのエレナは、ダフニーさんとって最高のパートナー。エレナは、ダフニーさんが3歳まで育てた孤児ゾウを預かり、野生で生きていけるよう知恵を授けているという。
ゾウやゾウの社会は人間や人間社会に近く、ゾウは人間の持ついいところを持ち、人間の持つ悪いところは持っていない。たとえば、子供が生まれるとメスがみんなで守るだけでなく、たまたま立ち寄ったオスのゾウも見知らぬ子供のゾウをとてもかわいがるのだとか。ある程度成長した子供のゾウは、今度は様々な知恵を持つ年配者のゾウ達の群れの中で、我慢することや誇りを持つことなどを教わっていく。
この映画では触れられていないが、象牙が狙われる背景のひとつに「貧困」がある。
象牙は高く売れるため、生活に困窮した人達は「それでも自分達は象を殺す」と言うかもしれない。また、気候や象と人間の生活圏の重なりが、農作物の被害など様々な形で貧困で苦しむ人たちをさらに追い詰めている。
密猟者もいれば、パトロールする人、摘発者や通報者もいる、そしてダフニーさんのように孤児となったゾウを育て野生に返す人たちもいる、人間と象の関係は実に多様で複雑に絡み合っている。
ダフニーさんが知る「象側の事情」
もし年長のゾウが殺されることがあれば、そこで多くの知識や知恵が失われ、象の社会には致命的な混乱が起きてしまう。目の前で親を殺され、牙を抜かれる姿を見た子ゾウの心は大きく傷つき、夜中に泣き叫び続け、生きる気力を取り戻すまで何か月もかかってしまい、その心の傷は癒えることがなく、大きな悲しみを背負ったまま生涯を終えている、という。
また、ゾウ達は、こうした事態も悲しみも自分達が牙をもつが故のことも知っているため、仲間が亡くなると、自分達で骨をバラバラにして象牙だけを持ち去り、どこかに隠したりもしているそう。
ダフニーさんいわく、
1つの種の絶滅は、他の種に大きな影響を与えます。
なぜなら全ての種は、鎖のようにお互い繋がっているから。
地球はひとつの生き物だと思っています。
全ての種はその体の一部分。
だからひとつの種の絶滅は、
自分の指を切ったり目を失ったりするのと同じこと。
人間はそのことに気づいていけると思う。
自分や自分の生活が世界のどんなところと繋がっているのか、私たちは近視眼的になっていて、想像することすら稀です。文字にするとこんな感じで、どう書いても平板になってしまうので、やっぱり映像や音を「観て、聴いて、感じる」映画かなと思います。
自主上映という形で行われていますが、スケジュールはHPにて情報を得ることができます。
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【追記:2019年12月】密猟防止の機運が高まる
2016年に開かれたワシントン条約会議で密猟防止の機運が高まった。ケニアでも摘発が強化されるようになり、2018年には象牙の取引が盛んな中国も国内取引を禁止した。
2011年頃、アフリカ大陸の全地域(南部、東、中央、西)では、ゾウの死の半分以上が密猟によるものだったという。その頃に比べると被害は減っているが、密猟を現場で食い止めているのであって、密猟者や象牙の需要自体が減っているわけではないという。目を背けがちなことだが、日本には印鑑や三味線のバチなど、象牙に対する強い需要がある。
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