Diary|ヘア・ドネーション体験記(1):アピアランス・ケアについて

以前、外見が自分の心や活動にもたらす影響についての動画「Doveの実験」の紹介記事を書きました。身近なところであらためて話題にすると、自分の外見に自信が持てずに心を曇らせている人が本当に多くて驚きました。


 せっかくブログも書いてるし、何かできることがあれば・・、それで思いついたのが「アピアランス・ケアに役立ててもらえるよう、ヘア・ドネーションをする」でした。

 

飛躍した考えのように思う人もいるかもしれないけど、病気やケガがなくてもこんなに人生が曇るのに、病気やケガで自分の外見が変化してしまったら?と、考えたから。誰にでも起こりうることだし、私の中では全然「飛躍」じゃなかった(笑)。

 

決めたはいいけど、最低でも31.5cm以上の長さが必要らしく、それでも子供用のボブがどうにかできる程度・・、時間はかかります。うーん、あとどのくらいかな。


ちなみに、医療用ウイッグが必要になるケースは、抗がん剤などの化学療法の副作用が真っ先に思い浮かびますが、実際はいろいろあって、先天性無毛症・乏毛症、円形脱毛症、内分泌疾患、放射線治療、火傷、抜毛症、頭蓋骨欠損における頭部保護形成など、様々。

自分が自分の外見をどう思うかは大切なことに変わりはなくても、病気や怪我によって外見が変化した人たちは周囲からどんな目が向けられてきたか?どんな言葉を投げかけられてきたか?そして、自分はどうだったか?についても、見直していく必要があると思っています。



アピアランスケアとは
アピアランス・ケアは、抗がん剤などの薬物療法の副作用による脱毛、爪、皮膚の変化をはじめ、外科治療による創(きず)などによる患者さんの苦痛を緩和し、QOL改善につなげていくためのケア。
都立駒込病院のHPによれば、「単なる美容目的ということではなく、外見の変化のケアにより患者さんが前向きに治療に臨むことができたり、日常生活を送ることができるようお手伝いすること」と定義しています。

また、国立がん研究センターのHPには、以下のようなメッセージが書かれています。

治療により変化した外見であっても、ご自分が気にならなければ
そのままで過ごしても何ら問題はありません。そういう方もたくさんいます。
ただ、もしあなたが、外見が変化したことで「周りの人からどう思われるか気になる」「自分らしさがなくなったような気がする」「治療をする気になれない」などと思うのであれば、ぜひ私たちに相談してください。
またその方法も、必ずしも「治療前と同じ姿に戻ること」ではありません。誰でも、TPOや周囲の状況、年齢、流行などに合わせ、髪型や化粧、服装などを変えることはあり、外見は一定ではありません。治療前と全く同じ姿でなくても、周りの人のことが気にならなくなったり、自分らしさを実感できる姿であればよいのです。
(引用:https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/appearance/


裏を返せば、周囲の人たちは決して要らぬお節介はしないように・・ということですが、悪意がないだけに厄介で、うっかりしてしまいそう。気を付けなければ。

時間がかかる病気やケガをした人がいると、つい少しでも役に立ちたいとか、早く元気になって欲しいと思うあまりに「〇〇したら?」「こういうのあるよ」とか、アドバイスしてしまいがちです。
アドバイスより、話を聞くとか、一緒に寛ぐ、一緒に楽しんでくれた方がどれだけ助けになるか(経験のある人は、身に沁みてわかりますよね?)


さまざまな取り組み
病院だけでなく、自治体、企業や団体による取り組みも行われています。自治体ではウィッグの購入などを補助する制度があったりします。また、アデランスでは、

「お子さまの髪の悩みを心の傷にしないために」をテーマに、病気やケガなどの理由でウィッグを必要とされるお子さま(4歳から15歳まで)へ、ウィッグをプレゼントする「愛のチャリティ」を、創立10周年の1978年から開始し40年に渡り続けています。2014年からはレディメイド・ウィッグのプレゼントも開始しました。

(アデランスによる脱毛原因調査)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000336.000010292.html



また、日本毛髪工業協同組合では、髪に関する人権問題にも取り組んでおられます。

当組合では、毛髪業界の健全な発展に基づき「毛髪関連商品を使用する方々の繊細
且つセンシティブな気持ちを傷つけるような文言・差別・卑劣的な表現」等に対し、消費者に代わって当該企業に改善要求などの活動を行っています。

受付フリーダイヤル:0120-179-173
http://nmk.or.jp/



自戒を込めて書きますが、本人の気持ちや意思をろくに聞かずに「こういうケアがあるからやった方いい」とか言ってしまったら、言われた方してみれば「今の自分を否定されている」とか、「以前と同じに戻らなければいけないんだ」と感じてしまう確率は、私達が思う以上に高いかもしれませんね。

なので、身近に外見が変化した人がいても、この記事は見せないで欲しいと思っています。

まず、自分自身がその人に対してしていることに気が付いて。
どんな目でその人にどんな視線を送ってるのか?「かわいそう」って目で見てないかどうか?それより、そっとしておくこととか、一緒に安らげることや楽しめることを探す方が、アドバイスよりずっと有益かもしれないです。


さあ、髪伸ばすぞ!



アピアランス〈外見〉の心理学

髪がつなぐ物語 (文研じゅべにーる・ノンフィクション)



コメント