生存と環境と|桜貝のこと

逗子海岸で、桜貝をいっぱい拾いました。いつ頃からか貝殻自体を見かけなくなってきました。桜貝はレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に「準絶滅危惧」として掲載されるほどになっていたんですね。。


準絶滅危惧とは、「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては”絶滅危惧”に移行する可能性のある種」のこと。

 

レッドリスト
https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/index.html


桜貝について
北海道南部から九州さらに朝鮮半島や中国にかけての内湾、水深20~30mほどの細砂底に生息しているそうです。水質の悪化には敏感なうえ、殻が薄いので、遠浅で波も穏やかで砂が細かい場所でないと生き延びることができません。
海岸侵食が進んで砂浜が減ってしまえば、桜貝は絶滅してしまうかもしれません。

だいたい15mm~20mm位のものが多い感じ。


桜貝は薄いので、持った瞬間に割れてしまったり、優しくつまみすぎて風が吹いたときに飛ばされたりします。拾ったのはいいけれど、持ち帰るときも気を使います。




桜貝の殻の表面には、年輪の線みたいなもの(成長線)があり、時間をかけてゆっくり成長してきたことが感じられます。

もともと大きくならず、殻長25~30mm程度までしか生長しない種類の貝で、20mmに達するまでに5年位かかるそうです。色の濃淡や厚さなどかなり個体差があり、すべてピンク色とは限らず、白色やオレンジ色、黄色いものあります。
厚さもすごく薄いものもあれば、透明感がなく、しっかりしたものもあります。品種の違いなのか、生育環境によるものなのかはわかりませんが、それも個性。



一番美しいのは、ついた砂を来た波で洗い落したときかなあ。その透明感は乾いてしまうと無くなっちゃうけど、何かを塗るのも抵抗が・・。




桜貝に穴を開けたヤツ
殻に穴が開いてるものがあることにも気づきます。
この穴、すごくないですか?出土した数珠玉に「こんなきれいに穴が開いている、古代にそんな技術があったのか」と話題になることがあります。こんなに薄い殻を割ることなく、こんなにきれいな穴を(しかもほとんど同じくらいの位置に)開けてるのは誰なんだ?と疑問を持ったのは、私だけではないと思いたいです。



調べたところ、ツメタガイという巻貝で、アサリの殻にも穴を空けちゃうそうですよ。
大発生して漁場を荒らしたり、潮干狩り会場を全滅させる事もあるくらい繁殖力も強いのだとか。方法は、対象を捕獲すると抱きかかえて固定し、足の一部から酸性の液を出して相手の殻に塗りつけ、殻の成分である炭酸カルシウムを分解。特殊な舌の上に並んだ歯によって丸ヤスリの様に前後に動かして穴を開けて、軟体部を吸い出すように食べちゃうんだそうです。

ツメタガイも生きていくために必死とはいえ、すごい技を身につけたものです。
私は人間だけど、絶対、そばにいて欲しくない。



桜貝を拾える場所は?
逗子海岸や鎌倉の由比ガ浜、片瀬海岸では、結構な量を拾うことができるそうですが、いつでも拾えるかというとそうでもないようです。季節は春が一番多いとか。私が行ったとき、引き潮のピークで、しかも前日に風が強く海が少々荒れていたため、色々打ち上げられてたのかなと思います。



他にはこんな貝も。タカラガイもありました!



桜貝のお守りとアクセサリー
桜貝は「御守り」にもされています。鎌倉の由比ケ浜にある縁結びで有名な葛原岡(くずはらおか)神社では、鎌倉の浜で採れた桜貝のお守りを売っています。その他、自治体によっては(たとえば石川県志賀町)ふるさと納税でアクセサリーを買えたりもするとか。

桜貝のお守りやアクセサリーや小瓶に詰めたものなどネットでも売られていますが、桜貝ではない他の二枚貝を漂白・染色したものを桜貝として販売しているケースもあるんですって。画像ではなかなか見分けつかないですが、ご注意を!



葛原岡神社
http://www.kuzuharaoka.jp/index.html



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