映画|不調・不機嫌は食事のせいかも?「Super Size Me」(2004年・米)

2004年に公開された「Super Size Me(スーパーサイズ・ミー)」 、Amazonプライムビデオで再視聴。日本にはコンビニもあるし、駅前には”早い・うまい・安い”を競い合うチェーン店もあり。明らかに日本人の体型も変化しつつあるなと思います。

 


不眠・抑うつ、イライラ、慢性的な疲労感、頭痛、食欲不振、便秘、冷えや浮腫み、皮膚トラブルなど何がしかの不調を抱えて働く私達。毎日食べているものが心身の調子に影響しているとは聞くものの実感は乏しいし、不調なときに限って「食事変えたくらいで良くなるかよ」と思いがち。

 

ならば危機感いっぱいの映画を観て、お尻に火をつけるのもアリ。

映画は、アメリカ人の肥満を社会問題ととらえ、監督のモーガン・スパーロック氏が地震の身体を通して、「1日3食×30日間マクドナルドを食べ続けると人間の身体はどうなるか?」を実験するドキュメンタリー。
この映画製作当時のアメリカでは、人口の60%が肥満だったそう。映画の中で、「このままでいくと2000年生まれの3人にひとりが将来は糖尿病になる」「肥満児の20%に肝機能に異常が見られ、肝硬変の初期症状が出ている子供もいる」との指摘もあり、たしかに社会問題といっていいかも。


きっかけは、2002年、NYに住む10代の少女2人が、自分たちの肥満(体重120kgを超えている)の原因はファストフードを売っている側にあるとしてマクドナルドをと裁判で訴えたこと。
アメリカ人の4人に1人は毎日ファストフードを食べるし、病院にもマクドナルドはあるし、もはや世界規模。自己責任と企業責任の境界線は?
被告側のマクドナルドの弁護士は「肥満の原因が当社であることは立証できない」と反論、告訴は退けられたものの、裁判所は原告側に「毎日毎食製品を食べ続けることが著しく危険だと示せれば、再提訴が可能」としました。
それを知ったモーガンはこの挑戦をすることにしたそうです。


実験開始前に、モーガンは数人の医師や専門家に自身の身体検査を依頼。非常に健康であり標準的な体型、医師達に「素晴らしい」とまで言われる良い状態。モーガンの見た目も非常に健康的だし、しゃべりも軽快、移動の足取りも軽やかです。


実験のルールは、

  • 水を含めた食事はすべてマクドナルドの商品
  • 1日3食必ず食べる。
  • メニューは一通り1回は食べる。
  • スーパーサイズを店員から進められた場合は断らない。
  • 1日の歩数はアメリカ国民の平均値である5000歩以下。 



最初の変化は3日目。初日は楽しそうにビックマックをほうばっていましたが、3日目にはもうスーパーサイズのビッグマックを手にしながら全く食が進まないという感じ。「吐きそうになる」と訴えた直後に嘔吐。胃の不調、体の中心部あたりが変な感じがする、気持ちが悪いとこぼします。
5日くらいで体重が5%も増加していました。

 12日目の検査では、体重が7.7kgも増加。短期間での急激な増加に専門家も驚きます。

 


日本には「スーパーサイズ」はないけれど、
いつ頃からかポテトMサイズがセットメニューの標準に。

 

17日目。同居するモーガンの恋人が「健康が心配。彼はぐったりしてすごく疲れている。夜遅くまで仕事しているし、砂糖やカフェインで乗り切ってそのままダウン。性行為や性欲も”前とは違う”」と告白。
18日目には目の後ろがズキズキと痛む、無気力、倦怠感を訴えます。
専門家は検査結果の数値に驚愕。高脂肪食で肝臓がやられるなんて前例がないので何とも言えないと前置きをしながらも、「糖の取りすぎによるもの」と診断。身体を痛めつけている状態としてドクターストップ。このときはもう「食べると気分100%気分が上がる」、つまり中毒症状も起こしていました。


20日くらい経過したとき、胸の痛みを訴えるモーガンに医師は、異常な数値になっていて、かなり危険な状態であること、そして薬を飲むことを勧めます。特に肝臓がこのような状態になるのは大抵は過剰な飲酒が原因で、食事でこういう数値になる例は初めてだと伝ええます。22日目にはもう、顔色もさえず、無表情に。

 

そして最終検査の結果。

  • 体重は11kg増加、脂肪肝。
  • コレステロールは65ポイント上昇
  • 体脂肪率は7%上昇。
  • 心臓病、心不全のリスクは2倍。
  • 気分は冴えず疲労感。
  • 情緒不安定。
  • 性生活は無いに等しい。

その後、観ている方も心配になるようなモーガンの体調は、恋人が作るデトックス食で肝機能を回復、増加した11kgを14ヶ月かけて落としたそうです。最後の2kgがなかなか減らなかったようですが。

 

1985(昭和60)年のマクドナルドのメニュー
(引用)http://pbs.twimg.com/media/BAkUElSCIAA2iPE.jpg

 

最後に納得したのは、「フレンチフライの油と、砂糖を大量に含む炭酸飲料水」は最悪な組み合わせなのだということでした。 ビックマックの大ファンでこれまで1万9千500個食べた男性は普通の体型でしたし、映画の最後にその男性は「フレンチフライは、ほぼ食べない」という付け足しもありました。


この30日の間は、食べることと検査をすること以外に、さまざまな人にインタビューや取材もしています。見どころは色々ありますが、印象的だったのは「学校給食」。

実験中、モーガンは数カ所の学校を訪れます。
ある学校では、入札で選んだ給食専門の下請業者が運営しており、フライドポテト、ピザ、スナック菓子やジュースなど多種類の高カロリーのものを提供し、生徒自身に選ばせていました。学校側は「お弁当も持って来ていて他のものも食べているだろう」と思っていましたが、生徒たちが家から持ってきていたのはスナック菓子。それらを全く把握されていませんでした。
別の学校では、国の給食プログラム(農務省の配給食)に沿って提供していましたが、 時には1000キロカロリーを超えるような冷凍食品やレトルト食品ばかり。

一方、ある公立の問題児の学校では、
「低脂肪・低糖分健康食、合成着色料や保存料は使わない、全粒粉パン、新鮮なフルーツや野菜、牛肉を使わない、調理法も油で揚げずに焼いたりする、全て手作りにして出来合いの食べ物は提供しない」
「お菓子や清涼飲料を無くして水だけにした」
ことにより、生徒たちの行動も改善され、集中力も増加、授業も積極的に受けるようになったとのこと。しかも他の学校と給食経費は変わらないことから、その背景には食品会社の利益が優先されているとモーガンは指摘します。


とても文面だけでは伝えられないモーガンの変化、さまざまな人へのインタビューや取材、非常に面白い映画でした。

 

Super Size Me
https://www.imdb.com/title/tt0390521/?ref_=vp_close

 

スーパーサイズ・ミー 通常版 [DVD]

Super Size Me 2 [DVD]



 

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<編集後記>
食べ物も大事だけど、よく噛むことも忘れずに!
昔、アメリカに行ったときマクドナルドの袋を持った若い女の子が3人でベンチに座っていて、フライドポテトにマックシェイクをケチャップ代わりにディップして食べているのを見たときは「そういう食べ方あるんかい??」と、びっくりしました。他に多分コーラか7UPか何か飲んでるんですよ???そりゃ太るよなあ。
ちなみに、私はマクドナルドに対して恨みも敵意もありません。



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