東京|JR神田駅周辺・街歩き(1):「今川小路」跡

神田駅の西口と東口(東京駅に近い方)に、かつて戦後の時代から生き続けたガード下の飲食店街「今川小路(いまがわこうじ)がありました。千代田区(鍛冶町)と中央区(日本橋本石町)の境あたり。

向こうには大手町の新しいビルが見える。

竜閑川を埋め立てた跡に建てられ、最盛期には居酒屋や焼肉店など16軒が肩を寄せ合うように並んでいたそう。ガード下にピッタリはめ込むように建てられた住居兼店舗、戦後の混乱期に建てられたような雰囲気。今ではもうほとんど見かけなくなりましたが、2017年9月に閉鎖・解体されるまで、大手町にこんなに近い場所に残っていたんですね。

今川小路がこのあたりにあったことが辛うじてわかるよう文字だけ書かれています。せめて地図とか欲しかったなあ。

当時の写真はこちら(↓)
昭和30年代頃の街並みが残っていると言われる理由がわかります。NHKの連ドラ「あまちゃん」でロケ地にもなったそうで。


千代田遺産:今川小路
http://chiyoda.main.jp/seisiga/kobetsu/imagkoji.html


狭いし、日も当たらないけど、家賃は安かったみたい。最初は日本人が住んでいたけど、日本が豊かになるにつれ、他の場所に移転した人もいると思います。そのあとに入居した人の中には在日韓国人の方もいたらしく、それらしきお名前の表札もあったとか。かといってコリアンタウンみたいな雰囲気にはなっていなかったそうです。

ところで、ガード下の不動産契約ってどうなっているんだろうと思ったら、もともと国鉄が貸していて、民営化したあとはJR東日本が特例的に貸していたようです。



 

映画「男はつらいよ」で失恋だらけの寅さんが唯一両想いになったお相手、歌手のリリーさん役を演じた浅岡ルリ子さんが子供時代に過ごした場所なのだそう。今では残っていませんが「大松」というお店がご実家だったそうです。


 

東北・上越新幹線、高崎線、常磐線の東京駅乗り入れに伴う工事や、再開発などが立ち退きの理由だとも言われているようですが、単に老朽化が激しいから契約期間満了で更新をしなかっただけのかもしれない・・・。

実際のところは当事者でないとわかりませんが、立ち退き後どのように活用するかは当時から未定だったそうで、今も更地のままとなっています。新橋から有楽町にかけてのガード下はきれいに整備されて「日比谷OKUROJI」に生まれ変わったけど、ここにはそんな気配はありません。

 



 

何のための立ち退きだったんだろう。
いずれは神田駅周辺も変わっていくだろうけれど、もう少し昭和の名残として残しておいてもよかったようにも思えますね。


「今川小路共同建築(通称 九段下ビル)」というのも神田神保町にあります、というより旧町名で今川小路と言えば神保町あたりなんですよね。ちょっと紛らわしいですが、「あまちゃんの方」といえばこちらのことだとわかると思います。


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【編集後記】
当時の面影もないって寂しいですよね。私も幼少期に、東京都某区で過ごした家はもうなくて、マンションが建っています。その土地を見てこのあたりが玄関で・・とか、あのあたりに空地があってよく遊んだとか、リアルに覚えていますが、もう当時のものはもう何も残っていません。でも、区画整理で道が変わって跡すらわからないという場所も多いんです。区画整理や再開発なんて東京に限ったことではないものの、東京育ちのつらいところでもあるかな、東京は変わり過ぎているとも思います。
徘徊した老人のことが話題に取り上げられるたび、もしかしたら、思い入れのある当時の景色を探しているのかな?と思ったりします。本人はもう過ぎ去った時代を「今」と思っていて、「あれ?このあたりにたばこ屋さんがあったはずだけど・・?」とか、迷って混乱してるのかなって。
若い時にはなかった発想、自分も自覚する以上に年を重ねた証拠ですね。

 


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