鉄道と駅舎|数少なくなったレトロな駅舎、JR相模線沿線にて【駅舎建替え】

JR相模線沿線では将来的に多数の鉄道事業が予定されていることもあり、古い駅舎が少なくなってきました。


そのひとつに、神奈川県内では珍しいこの単線を複線化するという計画です。その分の土地も買収したりと時間も費用も相当かかるため、実現するかどうか(そんなにお金あるかな?)。ゆっくりし過ぎて後悔しないよう、ちょっと記録しておきます。


 1.宮山駅 (高座郡寒川町)
1931年(昭和6年)に、寒川神社や地元住民の請願によって、相模鉄道の宮山停留場として開業。1944年(昭和19年)に国有化され、停留場から駅に昇格し運輸通信省(後の国鉄)相模線の駅となりました。駅舎の竣工時期は不明。
さすがに、1944年竣工ってことはないと思いますが、相当古いことはうかがえます。もう、昭和のまんまです。



駅前はいきなり民家で、小さな商店とコンビニエンスストアがあるくらいです。
寒川は県内でも有数の生産量を誇るスイートピー等の生産地。季節になると駅前の商店で売られているほか、寒川神社名物、八方除けに因んだ八角形「八福餅」も売っていました。

お正月は初詣客でかなりごった返すほか、寒川神社で行われるイベント(流鏑馬とか薪能とか)があるときは、かなり混むそうです。



【追記:2023年12月】JR相模線宮山駅の駅舎が、老朽化などを理由に建替えられます。今年5月9日から駅舎新設工事が始まっており、9月中旬から新駅舎の一部が供用開始されているとのこと。その後、旧駅舎が解体され、12月中旬には工事がすべて完了するそうです。ああ、やっぱり壊されてしまったか。


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木造駅舎が多いJR相模線に2つ、コンクリート造の駅舎「倉見」駅も「社家しゃけ)」駅があり、どちらも1926年(大正15年)に建築された当時のままだそうです。

相模線はもともと神奈川県を縦断するように流れる相模川の川砂を運ぶことを目的に敷かれた路線でした。この2つの駅を開設した相模鉄道が砂利事業を行っていて、この2つの駅を造るとき、資材を自前調達したためにコンクリート造になったそうです。

間に挟まれた「門沢橋」駅は?と思ったら、1931(昭和6)年、門沢橋停留場として開業したため、倉見駅や社家駅ができた頃には存在していなかったようです。

ちなみに、この2つの駅はそっくりな造りで、珍しい双子駅としても知られているそうです。


 2.倉見駅(高座郡寒川町)
1961(昭和36)年に貨物取り扱いが廃止になるまでは、相模川の砂利採取用の専用線が厚木方へ、トロリー線が茅ケ崎方へそれぞれ続いていたそう。トロリー線で運搬された砂利を貨車に積み込むホッパーも駅構内にあったとか。
その跡があったかどうか・・・、気づきませんでした。


JR相模線とは深い関係がある相模鉄道は、現在、本線(横浜駅~海老名駅)と、いずみの線(二俣川駅~湘南台駅)があり、いずみの線・湘南台駅から倉見駅まで約8kmを延伸する計画があると聞きました。

湘南台駅がある藤沢市の発表によれば、完成は2030(令和12)年。
延伸されれば、この駅舎も改築されたり、周辺の風景もガラリと変わるかもしれません。

 

3.社家駅 (海老名市社家)
社家は「しゃけ」と読みます。ローマ字だと「SHAKE」、「シェイク」じゃないですよ。割と近くに米軍キャンプがあるんだけど、シェイクって言った人、いると思うなー。

倉見駅と社家駅の駅舎の意匠は本当にそっくりというか、ほぼ同じです。
社家という地名は、明治維新前の身分制度のことで、代々特定神社の奉祀を世襲してきた家(氏族)をさし、実際にこのあたりには古くから神職に携わる人が多く住んでいたと言われています。
現在の地図を見る限り、神社が多いわけではない(むしろ何もない)ので、地名っていうのは不思議なものですね。

 

この時代って、アーチなどの「R(アール)」が流行っていたことが伺えます。


「倉見」駅も「社家」駅も、駅舎とホームを跨線橋でつないでいるのですが、昔は線路を渡って行き来ができたようで、ホームの下に階段が残っていました。現在のホームも上からかぶせて高さを上げているのがわかります。

遺構ってほどではないけど、こうした発見があると、何か嬉しいです。


 

4. 「中新田」駅(廃駅)
JR相模線は、茅ヶ崎・・・・倉見ー門沢橋ー社家ー厚木・・・・橋本、という並びなのですが、社家と厚木の間にはかつて「中新田(なかしんでん)」駅があったそうです。正式には「中新田停留場」。
1932年(昭和7)年に開業し、1937年(昭和12)年に小田原急行鉄道小田原線への連絡線が設置、1943年(昭和18)年には戦時統制化の不急不要の排除により営業休止に。翌年、相模鉄道相模線国有化時に、正式に廃止されました。
支線や短絡線ができては廃線になったり、関東大震災で被災したり、駅名が変わったり、戦時買収私鉄によって国有化したりと、こんな小さな路線も、時代の荒波にもまれています。

歴史については、またいつか、別途記事したいと思います。

●GO!GO!相模線:
http://www.go-go-sagamisen.ecweb.jp/index.html


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<編集後記>
他の木造駅はすっかり建て替えられているので、本当に時間の問題かもしれません。 でも、JRってそんなにお金あるかな?とも思っていますが、油断は禁物。
既に他の旅客線の延伸の計画が進められており、2027(令和9)年の橋本駅のリニア駅開業計画もあり、ローカル線のような味わいのこのJR相模線の駅舎までもが少しずつ建て替えられているそうです。
バリアフリーなどにする必要はあると思いますが、丸ごと建て替え、しかもみんな同じような駅にする必要がどこまであるのかなーと、ちょっと寂しく思っています。



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