昭和史|占領期:オキュパイド・ジャパン製品(2)

 「敗戦」「占領期」は、当時を知る日本人にとって、思い出したくもないような恐怖や屈辱を強いられた時期、複雑すぎて説明が難しい混乱期と思い込んでいました。食べていくのも困難な大変なのに、敵国の兵士が次々やってくるのですから。

 

同時に、やっと戦争が終わった!という解放感や希望もあり、生活を立て直そう、国としての誇りを取り戻そうとしていた時代でもあった、そう聞いたことも思い出しました。

 

70年も前の物とは思えない、金彩と金縁がきれいです。
 

焦土となって荒廃した国土、軍国主義から民主主義への急激な転換、戦時中より深刻な物資の不足と食糧難、疲弊・憔悴しきった国民、インフレ、大混乱、治安悪化・・・。

日本は、明治時代に大量の輸入品によって流出した邦貨を取り戻し、自国のアイデンティティを守るために、技術を研鑽し、奔走し、日本製品(特に陶磁器)を輸出したという実績と歴史を持っています。モノ作りや貿易は復興の道筋のひとつだっただろうし、取り戻したいものがあったかもしれません。 

ただ実際のところ、GHQは軍隊の解体と軍国主義排除のため、言ってみれば工業国としての日本を骨抜きにする政策をとっていたため、作れるものは生活用品などに限られていました。陶磁器やセルロイドのおもちゃは有名ですが、カメラ、ミシン、衣類、日用品、クリスマスの飾りなど。

 

ノリタケの元の会社名、森村組の「M」の刻印。

 

ただ、いくら占領されたからといっても、日本はモノづくりの歴史やブランドがあり、それらは守る必要がありました。

たとえば、ノリタケには「flower印」なるものがあり、1949年から1950年の間だけ、ノリタケ・ブランドを守るために使用したそうです。ちなみに、それらもオキュパイド・ジャパン製品にカテゴライズされています。

 

過去記事
昭和史|占領下時代:オキュパイド・ジャパン製品(1) 

 


増補新版 戦後京都の「色」はアメリカにあった!: 占領期カラー写真が描く〈オキュパイド・ジャパン〉とその後

コレクション 戦争×文学 10 オキュパイド ジャパン



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