鉄道と駅舎|タイ国有鉄道・メークローン線「傘閉じ市場」

 テレビで見たことがある、電車が来ると傘や商品を片付けて、通り過ぎると何事もなかったかのように、元に戻して商売を始める市場。


この風景は、電車が来る10分くらい前の様子。右側には寛ぎきったご婦人の手足。
日本人だったら、あと10分しかない!とか言って急いでしまうところ。なかなかここまで寛げませんよね。






1.市場について
この市場の名称は、「Talat Rom Hoop(タラート・ロム・フープ)」、傘閉じ市場とか傘畳み市場という意味。英語表記では「Mea Klong Railway Market」。なので「線路市場」とか、メークロン駅にあるから「メークロン市場」とか、呼び方はいろいろあるみたいです。(線路の枕木は「木」ではなく「石」なんですね。)

人が歩いているのは、線路の上です。



この商店は、駅前の踏み切りから、200メートルほど続いています。
線路脇は国有地なのですが、近くにある場内市場を飛び出して商売を始めたり、貧しい人たちが集まって商売をしたことが始まりだそう。退去命令をしても聞かないか、また戻って来てしまうか、別の場所で似たようなことを始めるか。いたちごっこになるので、許可も認可もしていないけど、取りあえず黙認したまま数十年だとか。
もう、これだけの観光名所になった以上、今さら退去命令は出しづらい。「占有」「実績」ってパワフルです。

周辺は賑やかな商店街、車や人の往来も激しい。




2.いよいよ列車がやってきました
最初に場所取りをしていたのはマーケットの中、入り口から50mくらい入ったところでした。列車が来る15分くらい前から、「入口近くに戻って来て、こっちの方がよく見える」とガイドさんが叫び出したので、泣く泣く戻りましたが、入り口付近は既にこの状態。

見えない。背も低いのに、自撮り棒も持っていない。さて、どうする。とりあえず、思いっきりつま先立ちで、思いっきり両腕を伸ばして撮ったのがこの1枚。



列車が来たらこんな感じ。
傘をたたんでいるところを見ることはできませんでしたが、スレスレのところを徐行運転している列車は撮ることができました。自撮り棒は必須だと思います。



【追記:2023年7月】
動画を編集しました。





3.メークローン線について
メークローン駅の入り口、改札はありません。市場と駅の間には道路が通っているのですが、道路の反対側に市場があります。



メークローン線は、1905年に民営ターチーン鉄道として開業し、1907年にこのメークローン駅が開業します。その翌年にメークローン鉄道に吸収合併されました。
1942年から1945年の間は軍事指揮下に置かれ、指揮解除のおよそ半年後の1946年5月に国有化します。



メークローン線は、ターチン川によって隔てられた2つの路線で成り立つ、計60km余(それぞれ30km余)の短距離路線。バンコクから近い方が「マハーチャイ線」と呼ばれる東線(ウォンウィエンヤイ駅~マハーチャイ駅)、遠い方が「メークロン線」と呼ばれる西線(バーンレーム駅~メークローン駅)です。


何故か鉄橋は造らず、連絡船がメークローン線(西線)のバーンレーム駅に発着しています。そんな歴史と地形から、メークローン線は、タイ国有鉄道の他の路線とは接続しない飛び地路線になっています。予算も別枠なんだそうです。


バーンレーム駅からメークロン駅まで33.75km、駅はその2つだけ(3等駅)ですが、だいたい1~4km間隔で13個の停車場があります。明治時代の日本の鉄道・軌道みたいですね。



市場とは別にホーム内に売店があります。
キヨスクというには大きいし、駅ナカというには小規模ですが、オープン・カフェもありました(笑)。改札はないので、買い物やお茶だけでもOKなのかも。つまり、ここも市場の一部かもしれません。


南本線のパークトー駅まで延伸する計画があるそうですが、実現するのはいつのことやら?なのだそうです。海外の方が、開発や工事の遅れもあるけど、「未成線」率高いですよね。






バンコク・ナビ:メークロン線の折り畳み市場
https://www.bangkoknavi.com/miru/89/

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【追記:2023年7月】
すごく遅くなったけど当時撮った動画を編集してYouTubeにアップしました。




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