台湾|変わりゆく風景:西寧國宅と西寧市場(台北市萬華区)(1)外観【2026年10月解体決定】
台北も風景がどんどん変わりつつあり、「西寧國宅(シーニン グオジャイ)」と「西寧市場(シーニン シチャン)」も2026年10月に解体されることが決定したそうです。台北では戦後から急激な人口増加によって深刻な住宅不足に陥り、市内各地に大規模な団地群が建設されていきました。ここも政府主導により、1982年に竣工した公営住宅です。
老朽化が激しさが目立つものの、古き良き台北の繁栄の歴史でもあります。ただ、怪談系(?)の話も出てきますので、苦手な方はまたのお越しをお待ちしております。
このエリアは、台北駅にも近く、日本統治時代の頃から商業・物流を支える重要な拠点でした。今でも非常に道路が広く、見通しがよいのはその名残りかもしれません。西門町や北門町から近いけど、観光するようなところが特になく、ローカル色が濃いエリアだと思います。
1929(昭和4)年、台北市が多額の費用を投じて、西門町や永樂町にあった市場の卸売機能を統合する形で「台北市中央卸賣市場」を開設。青果や鮮魚などの卸売、製冰・冷蔵を行い、台北市民の食卓を支えていました。
1975年に卸売市場が移転することになり、その跡地にこの西寧市場と西寧國宅の建設を計画。当時としては高層の16階建の2棟(Å棟、B棟)で構成し、地下と1階に住民の生活を直接支えるようなローカルな市場が入居、2階から4階は台北市政府の各部署のオフィス、5階から上が公営住宅。各階に20戸、全住民が共有するエレベーターが4基。ちなみに、住宅の面積は約40㎡~80㎡、間取りは1DK~3DKが中心だったそうです。
低・中所得世帯向け賃貸住宅であったため、賃借人の年収に制限がありました。とはいえ、首都の一等地であるにもかかわらず、家賃はこのあたりの相場の30%から40%程度だったそうです。
首都台北の繁栄の歴史の一部である一方、迷路のような閉鎖的な空間、中庭の日照・照明不足で暗く重苦しい感じがするという人も。そんな独特な形状と頻繁に起こる事故から、「台北で最も幽霊が出る建物」とまで言われてしまうことに。
真偽の程度はわかりませんが、過去40年間で30件以上、自〇を含む不審死が発生し、今でも「猛鬼大楼(モンクイ ターロウ)=悪霊ビル」という不名誉なあだ名まで付けられているそうです。
そうした悲しい事故や痛ましい事件があったとしても、そんなあだ名を付けられたら、住んだ人たちや商売している人たち、近所の人たちにとっては、たまったものではないですが・・・・。
日本でも、高度経済成長期の建設ラッシュや人口移動で大規模な公団がいくつも建てられました。できたばかりの頃は団地暮らしは憧れの対象であったはずが、次第に「あそこは自〇の名所」といった噂が立つようになりました。建設当時は高層で大規模だった団地、特に東京都内にあるいくつかの団地は有名ですが、5階建てくらいの団地でも「〇街区で・・」みたいな話が尽きませんでしたよね。
台北にもそういった話があるのか・・・。
| カラフルなポールがかわいい。案外ポップな外観だったのかも。 |
現在は5階より上の住宅フロアは住人が既に退去し、もう誰も住んでいませんが、当時は市場のほか、病院や廟もあって、この建物の中だけでいろいろな用事を済ませられ、建設としては画期的だし、便利だったのかもしれません。
日本にもこういう団地(現在のUR)、現役でまだまだありますよね。
ここで育った子供たちもいただろうし、長年ここに住み、隣人たちと年を重ね、老後を過ごした人もいたと思います。時には自治会主催のイベントがあったり。そんな日本にもよくあった光景が、ここ台北にもあったんだろうなあ。
海砂屋の問題で揉めていたり、解体された建物は結構あるそうです。
| 公営住宅にもちゃんと廟があるのが台湾らしい。主祭神は福徳正神(土地公)。 |
台北市都市發展局(開発局)によると、建て替え後は近代的な「復興社会住宅区2」という名称の地下5階、地上27階建ての建物になるそうです。完成は、早ければ2032(中華民国121)年になる見込み。
- B2~B5階:公共駐車場
周辺住民が利用可。乗用車約599台分とバイク約915台分の駐車スペースを提供。 - 地下1階~2階:市場と社会福祉施設の複合施設
地下1階から2階までは真新しい西寧市場、高齢者向け長期介護施設、オフィスを計画。 - 4階~27階:公営住宅
1千戸以上の近代的な公営住宅を提供
日当たりや風通しを意識した設計なのだそうです。
| 古き良き台北がここにあったのかなと思うと、切ない。 |
日本でも「かつて何かあった土地」での都市伝説や怪談は語り継がれていますよね。
実際どうなのかはさておき、そうした話が広まってしまうと心理的なストレスもかかるし、不動産価格や賃料などの相場にも影響し、そのまま何事もなかったかのような建て替えはしづらいだろうなと思います。
台北市都市發展局(開発局)は、「解体後、約6ヶ月間は敷地を空き地のままにしておく」ことを明らかにしたそうですが、「設計審査や建設の安全性を考慮するのに必要な工程と期間」という現実的なものなのだろうと思います。
その一方、「土地を乾かす(日光に当てて悪を払う、等)」ためであり、葬儀のように厳かな浄化の双方を兼ね備えているのではないか?とも言われています。これだけ色々とよくない話があると、やはり心理的なものへの対処も必要ということなのかもしれません。
周辺の風景もこんな感じ。
萬華区自体が歴史ある古い街なので、こうした街並みは珍しくはありませんが、今後どう変わっていくのかなあ。
配電盤や配線が剥き出しでぐるぐる、アジアの古い建物でよく見ますよね(笑)。
この風景も間もなく姿を消していくと思います。建設中のタワーマンションを見ると、開発の手がじわじわと伸びてきているなあ・・と。
せっかくなので、西寧市場の中も覗いてきました。別記事にて書いてみます。
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【編集後記:注意!】
既に、オフィスも住宅も使用されていない状態の場所には入ることはできません。というか、使用されていたとしても、他人様の生活があるので、知り合いがいるとか管理人さんに許可をもらったとかでなければ入りにくいですよね。
撮影や肝試しなどのために立ち入ったり、中には無理矢理施錠をこじ開けて侵入する人もいるのだとか。廃墟のような状態になったところでは、足元等が危険だったりするだけでなく、心理的な負担も大きいし、場合によっては犯罪に巻き込まれてしまうことも有り得ます。どんな危険があるかは想像がつきません。
使用されていないフロアには決して立ち入らないよう、台北市都市局も呼びかけていますが、当サイトでも改めて注意喚起として本文を記載しております。
地図のリンク:https://maps.app.goo.gl/ABLwE9CmCptSgRBc8

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