東京|モリモリのプリンアラモード:喫茶チェリー(大田区蒲田)

 

 大田区蒲田にある1960(昭和35)年創業の喫茶店「チェリー」さんに行ってきました。こちら、裏メニューということになっているプリンアラモード、800円。確かにメニューには載っていないものの、他のテーブルのほとんどの方が注文していて、全然裏メニューっぽくない(笑)。


プリンが見えないのですが、メロン型のどんぶりと言いたくなる器の底の方に押し込まれていました(笑)。



蒲田は、JR京浜東北線、東急池上線、東急多摩川線、少し離れたところにある京急蒲田駅と合わせると4路線も利用でき、飲食店も非常に多いエリア。昔から町工場も多く、日本のものづくりを支えてきた町。戦前には松竹キネマ(現・松竹)の映画撮影所があったり、当時は活気に満ちた華やかな街だったのだろうと思います。若い人も多く、最先端の技術と映画製作がある町なんて、面白そうですよね。



ところが、1945(昭和20)年4月15日の空襲(城南空襲)によって、蒲田駅周辺は焦土と化してしまいました。やっと復興したかと思ったら、1969(昭和44)年11月16日、当時の佐藤栄作首相の訪米を阻止しようとしたデモ隊と機動隊が、国鉄蒲田駅(当時)東口付近で激突、京急蒲田駅でも火炎瓶が投げられて大炎上するなど、激動の昭和史の舞台でもあります。

バブル崩壊後は、客の減少とともに空き店舗が目立つようになりましたが、そこに入居してきた飲食店が今は一番多い層かもしれません。コロナ禍もだいぶ落ち着いて、町に人が戻って来た以降に、リニューアルしたり、新しくオープンしたお店もあったりして、夜遅くまで賑わっている、なかなかタフな街だなあと思います。


そんな中で、60年以上経営されているチェリーさんは、蒲田駅周辺では老舗喫茶。2014(平成26)年にリニューアルし、モダンな内装になってるものの、何か貫禄がありますよね。お客さんのほとんどは地元の常連さんのようでした。


 

1階が喫煙席で、2階が禁煙席らしいのですが、1階席にもタバコ吸っている人はいませんでした。


 

冒頭で紹介したプリンアラモード。

 

裏側(?)はこんな感じ。中心に盛られて屋台骨となっているのは、濃厚バニラアイスです。スクープ7個分くらい。底の方には、大きめのプリンとグラノーラが入ってました。

 

お店が満席に近い状態だったからかもしれませんが、注文してから35分くらいかかりました。時間に余裕をもって来た方がよさそうです。


腹ごしらえしたい人向けの人気メニューは「焼きチーズカレー」。今回はこの大きなプリンアラモードが目的だったので注文はしていませんが、店内はカレーの匂いが漂っていたので、おそらく注文する人が多いのだろうと思います。

 

お値段は非常に財布に優しい金額。
かつては工員、今は東京工科大学や日本工学院専門学校などに通う学生など、昔から若い人が多いということも影響しているのか、家賃相場や生活必需品全体の物価が都心よりも安めです(川を越えたら神奈川県だし)。



閉店後もお洒落なシャッターを閉めていて、かわいかった。



食べた後は結構身体が冷えます。駅から徒歩圏内、一番近いところだと5分くらいのところに黒湯の銭湯があるので、冷えたなーと思ったら寄ってみてください。


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【編集後記】
JR蒲田駅の発車ベルは、「蒲田行進曲」。戦後の昭和生まれだと、映画「蒲田行進曲」で銀ちゃん役を演じた風間杜夫さんたちのお顔が浮かぶのですが、「蒲田行進曲」は1920(大正9)年6月から1936(昭和11)年1月の約15年半、鎌倉に移転されるまで続いた松竹蒲田撮影所の所歌。
ミュージカル「放浪の王者」の劇中で歌われた「放浪者の歌」という曲を当時の蒲田撮影所で音楽の嘱託をしていた堀内敬三氏が、映画「親父とその息子」の主題歌として日本語の歌詞を付けたのが始まりだと言われています。
蒲田は東京の隅っこですが、なかなか面白いところだと思います。


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