ラーメンは博物館もあるほどの人気食。「二郎系」「家系」など有名店の暖簾分けや、「北海道系」「熊本系」と地域に分けたり、〇〇系と特色を打ち出したりと様々。お店もきれいだし、確かにおいしいのだけれど、個人的には昔ながらのラーメン屋さんって結構好きです。
今回お邪魔したのは、湘南茅ヶ崎にある1964(昭和39)年創業の「サッポロ軒」さん。サッポロと名乗っているあたり、北海道系ってことになるのでしょうけれど、今のラーメン屋さんとは時代の違いを感じますよね。
サッポロ軒さんは別荘地の色合いが濃かった茅ヶ崎で一番古いラーメン屋さん。加山雄三さんや、まだ学生だった頃のサザンオールスターズの桑田佳祐さんもよく来られていたそう。
残念ながら建物の老朽化のため移転が決まり、2024年8月4日まで営業するそうですが、移転先は未定。決まったら張り紙を出すとのこと。それよりも常連さん達や、聖地巡礼をするサザンのファンの方達がSNSを使って伝える方が早そうな気がします。
向かい側においしいコロッケを売っていたお店があった記憶が。 |
昔(〇十年前)茅ヶ崎に伯母が住んでおり、遊びに行くといつもさっぽろ軒さんで出前で頼んでいました。オカモチを持った先代のご主人の姿をほんの少し覚えています。
当時は今みたいにファミレスもないし、個人経営のお店が殆どだから小規模だし、いつも混んでいるので、子供連れで2家族行けるような場所はあまりありませんでした。都内ならそれなりにあったけれども、今ほどではないし、茅ヶ崎の方は本当に少なかったと思います。
UberEatsみたいなものもないから、お店の人が出前して届けてくれました。食べ終わったらすぐにお皿を洗って拭いて、紙袋や籠に入れて玄関の外に置いておくと、後でお皿だけを引取りに来てくれるというシステム。
そんな時代なので、ここのお店に入って食べたのは随分後になってから。
この日も常連さんの出入りが多かった。 |
看板メニューの「味噌ラーメン」を注文。
初代は、味噌ラーメンの元祖といわれている札幌市のラーメン店「味の三平」の立ち上げに関わっていた方だそう。現在のご主人は3代目。
日本のラーメンの長い歴史や知識については、新横浜ラーメン博物館のサイト内にある「RAPEDIA(ラーペディア)」にお任せしますが、かなり端折ると、日本で中華麺が初めて食べられたのは1488(長享2年)年の戦国時代。そのときはあまり広まることはなく、開港してから徐々に広まった感じ。
現在のような庶民フードとして人気になったのは、やはり終戦後あたりでしょうか。終戦後の闇市では、引揚者たちがラーメンの屋台を開いていたそうだけれど、安くて早くてうまいということで人気だったらしい。その後、インスタントラーメンが開発されたり、あちこちに名店もできたり。
時代と共に味やスタイル、店構えが変わるのも当然といえば当然ですが、昭和なスタイルのラーメン屋さんが減るのも寂しいものです。またどこか探して行ってみようと思います。
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【編集後記】
戦後の復興期は経験していませんが、広島のお好み焼き屋さん「みっちゃん総本店」も屋台から始まったそうで、当時の日本が安い食材で何とか胃袋を満たした人々の力によって復興してきたことが伺えます。あの時代に育ちざかり・働き盛りだった人たちは炭水化物と野菜をいっしょくたにしたような食べ物だけなのに、どうしてあんなにパワーがあったのだろう。高齢になっても強いし、かくしゃくとしているし。
豊かな時代に生きる私達は、こんなに食材が豊富な料理をいつでも食べられるのにどうしてこんなにすぐヘタれてしまうんだろう?というのはちょっと興味があります。食育ってナンダ?
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