2014-10-02

東京|蓄音機で音楽を!アーカイブ・カフェ(日比谷公園)【閉店】

1923(大正12)年7月に開設された日比谷公園大音楽堂も、もう90年を越え、あっという間に100年になりそうですね。2010年10月の公会堂80周年記念事業終了とともに一度閉店された併設カフェも、リニューアルオープンで再営業~! 

 

カフェの入口には、90年記念事業のパネルなどが飾られ、元々のチケット売り場がそのまま残っていました。もともとクロークがあったスペースがカフェになっています。

 

蓄音機もあり、実際にレコードをかけてくださるのですが、小声ならお喋りOKの名曲喫茶という感じ。今の時代、蓄音機で音楽を聴くこと自体、珍しい体験です。金沢にある蓄音機博物館で聴いたことがあるけど、そう考えると人生で2回目!


場所柄、ここに来る人はクラシック音楽好きが多いのですが、昔を懐かしむご年配も結構いらっしゃるご様子。きさくな老紳士から戦後の様子を伺うことができました。


終戦から6年が経った1951(昭和26)年。
終戦直後の混乱は落ち着きつつあったものの、まだまだ焼け跡も残ってるし、庶民は貧しい暮らしを強いられていた頃。クラッシック音楽好きなら誰もが知る巨匠・メニューインが日本にやってきたのだそう。吉田茂首相がサンフランシスコ講和条約に調印、ようやっと占領下を脱したという時代。

そんなタイミングで14年ぶりに海外から著名な演奏家が来日するとあって、話題とか評判というより、社会的事件みたいな扱いだったとか。
漫画「サザエさん」でもネタになっていたようです。

 



その老紳士は、

いつも空腹だし、衛生面もよくないし、仕事はあったけど肉体労働ばかりだし、まだまだ先が見えない。そんな時代なのに、何故か元気はあって「復興して、東京はこれから文化で発展していくんだ」という希望が湧いた”事件”だった。
チケットなんてすごく高くて一般庶民は買えるわけがないんだけど、そんな演奏会が開かれたこと自体が、すごく嬉しかった。
とにかく、あの頃はいろんなことに飢えてたもんな(笑)。


とのこと。
今では立派なコンサートホールがたくさんあって、日比谷公会堂なんて古いって思うかもしれませんが、そんな歴史と当時の思い出を持つ人の話を伺えたのはよかったと思いました。


今回の再オープンには、たくさんの要望があってのことだったそうですが、わかる気がします。ちょっとした資料館のようにもなっていて、音楽好きが集まって、そういうお話が聞ける場って、なかなかないですから。


*  *  *  *  *  *

【追記:2016年3月30日】
日比谷公会堂大規模改修の為の一時休館に伴い、2016(平成28年3月15日をもって閉店したそうです。すごく残念ですが、改修が終わったら、またオープンして欲しいなあ。ホントに惜しい!!!


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